旅客機版【エアバス機関係】

 ここに記述した情報は、素人がフライト・シミュレータで遊ぶために調べて記したメモであり、本物のデータとは異なります。個人の興味で調べまくった成果なので、消さない事。昔はボーイング機が主流でしたが、現代では世界中の大型旅客機の約40%がエアバス機。日本のLCCエアライン(ジェットスター、ピーチ、スターフライヤー)の主力機、JALのメイン機(A350XWB)、及びマイクロソフト・フライトシミュレータ2020も、メインはエアバス機。

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旅客機版 エアバス編

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 中東アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ航空は、2024年時点でA380を約120機所有している。

目次>--------------

1 個人メモ

2 エアバスA320の標準的速度、高度

3 エアバスA320の安全システム

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1 個人メモ> 


スピード100ノット=大気速度で時速185km。

元々、ノットは、1時間に1海里(=1マイル)進む時の速度。

マッハ数> 亜音速で飛行する航空機の巡航速度は対地速度でも対空速度でもなく、飛行している空間の音速との比率で決まる。飛行中に、機体の一部がマッハ1を超えると衝撃波が発生し、燃費が著しく悪くなるので、機体全体の状況を見て最適巡航マッハ速度が設定されている。例えば、ボーイング787の巡航速度はマッハ0.85とされ、具体的な時速は明示されない。したがって、飛行機の飛行マッハ数を単純に標準的な31,200 km/hで換算することは、高空における場合は正しくなく、高度11,000m(=約3.3万フィート、フライトレベルFL330)以上では、大気速度1,062km/hが目安となる。

高度1000フィート=約305m。=東京タワーぐらいの高さ。

スカイツリーは約2000フィート。

1万フィート=約3km。

降下率4000フィート/分とは、1分間で4000フィート降下する割合。高度4000フィートなら1分以内に墜落する&高度4000フィートの山岳地帯ならば、いつでも山に衝突してもおかしくない降下率。

1マイル(海里(カイリ、nautical mile)、マイル, nm)=約1.852km。 

100ポンド=45.3kg、1ガロン=3.78L

Jet燃料 A-1の比重~0.84 水1L=1kg


 SIDによると羽田空港では離陸後500フィートで方向転換、250ノット以下で最低巡行高度1万フィートでトランジションルートに向かう。


 日本で一番高い富士山は高度1万2400フィート、富士山を超える場合は余裕を見て1万5000フィート(フライトレベル150, FL150)以上で飛行すること。ただし、過去の事故の経験から、実際には旅客機は富士山付近は飛行しない。

乗客に苦痛を与えないように降下率は毎分300フィート以下。

日本では北に向かって左側に見える天気が、これから天気の状態。

飛行機雲がはっきり見えると翌日はくもりか雨。高空にそれだけ水分があるということ。

綿菓子のような積雲(ひつじ雲)の高度は6500フィート、約2000m。


〇朝、夕方に東京ー北海道を飛ぶと、南北方向のフライトなので、飛行中、客席は、ずっと朝日か夕日にさらされる。

〇東京ー福岡は、東西の飛行で、上空の風は西から東に流れているので、福岡→東京は追い風で予定時刻よりも早く着き、逆は向かい風で、時間がかかる。昼間は客席はずっと南側だが、南方面は太陽高度が高いので、太陽光線(特に赤外線)が客席を直撃することは少ない。

<低気圧だと雨が降る理屈>

低気圧がそのまま雨を降らすのではありません。

低気圧の中や、そのまわりでは雲が発生しやすくなっていて、雲が発生すると雨を降らせるのです。

低気圧には、まわり(高気圧領域)から空気が集まる特ちょうがあります。空気には暖かい空気も冷たい空気もあるので、

性質のちがうこれらの空気がぶつかって、雲が発生しやすくなるのです。だから、低気圧が近づくと雨が降りやすくなるのです。


2 エアバスA320の平均速度、高度 >

 ECAMディスプレーに表示される青文字は警告なので、表示された機能について(例えばパーキングブレーキOFFとか)指示された操作をして青文字が消えるように操作する。ECAMに何も文字が表示されてない状態がノーマル運行状態。

最大離陸重量73.5トン仕様では、機内燃料容量は、2.38万L(=20t,灯油入れ1322個、ドラム缶119本、ガソリン輸送用タンクローリー容量が3万Lなので、8割程度の量)で航続距離2600マイル(4815km)。 A320ではないですが、ボーイング777は、東京-大阪(約500km)のフライトで燃料を2万L使用するそうなので、地上距離1Km進むのにジェット燃料を40L(25m/L)使用するようです。ジェット燃料がいくらか不明ですが、1L=50円と仮定すると、片道100万円の燃料代になります。


離陸フェーズ>


〇タキシング

 駐機場から滑走路までタキシングするような、低速で大きく旋回する際は、チラーという小さなハンドルを回してステアリングする。また、離陸中、滑走路の中心線を外れないようにする際はラダーペダルを踏んで、ステアリングして微調整する。A320のマニュアルには、チラーは速度20ノットまでは±75度まで稼働し、80ノット(離陸開始直後のスピード)では、自動的に0度に固定される。一方、ラダーペダルは40ノットまで±6度で作動し、130ノット(V1速度直前)で、自動的に0度に固定される仕組み。ボーイング777やエアバスA380などでは、地上旋回半径を小さくするために、メイン着陸ギヤの一部も回転するメカニズムがあり、これらはコンピュータで動きが制御され、A320のような小型機と同じ操作方法でステアリングしている。

○日本では、1万4千フィート以下では、空港から提供される海面気圧値をセットし(QNHセッティングと呼ぶ。)、1万4千フィート以上は高度計をスタンダード気圧(1013.2hPa, 29.92inHgを高度0mとする設定合、QNEセッティングと呼ぶ。)に変更(洋上は別)。

QNH>平均海面上10フィートの時、正しく高度を示すように補正した数値。

○V1(安全に離陸を中止可能な速度):130ノット, 

 Vr(機首起こし開始速度、rはrotation):135, 

 V2(離陸中に片方のエンジンが停止しても上昇を続けるべき速度):140ノット at Flap 1. 離陸後に問題が起きれば、空港周辺を旋回して、空港に戻る。

V1速度を超えたら、スラストレバーから手を放す。V1速度前で問題が起きたら、スラストレバーを戻して、離陸中止。

上昇時160ノット(300km/h). 最高速度350ノット(大気速度、対地速度は気流の状態によって異なる。日本では低空域では航空管制の観点で、各飛行機のスピードが異なると危険なので最高200ノットに規制されている。

○旋回開始高度は、旋回中の高度低下を考慮して500フィート以上。

1000フィート以上でAP(オートパイロット)オン。

3000フィート以上でフラップup。最高高度3万9千フィート。

〇ジェット機はラダーは基本使用しない。離陸中に方向転換する時のラダー(フッドペダル)は、右に行きたい時は右ペダルを踏むこと。


巡行フェーズ>

○ジェット旅客機では上昇(クライム、Clime)スピードは毎分2000フィート、下降(ディセンド、Decend)スピードは毎分1000フィートが標準的。乗客に苦痛を与えないように降下率は毎分300フィート以下。

○1万4000フィート以上は高度計をスタンダード気圧(1013.2hPa, 29.92inHgを高度0mとする設定合、QNEセッティング)に変更(洋上は別)。1万2000フィートよりも上ではフライトレベルで表現し、1万4000フィートはFL140と表現し、FL120とは表現しない。

○日本では1万フィート以下では、250ノットまでの速度制限がある。

高度1万フィート以上で気流が安定したらベルトサイン・オフ。

 国内線の巡行高度は2万4千フィートが多い(巡航では、1万5000フィート以上で飛ぶと富士山に衝突しない。)とされるが、状況に応じて1万や3万8千フィートで飛行する時もある。国際線は約3万フィート。コンコルドは常にマッハ2で飛行していたので5万フィートを飛行していた。

〇サイド・スティックでオートパイロットを切る時は、赤いボタンを押すこと。

〇フラップ・レバーはレバー下の「ノッチ」を引き上げつつ動かす。


着陸フェーズ>

○Vref ( refference,着陸基準速度 ):150ノット(270km/h)。

失速ギリギリ速度110ノット(約200km/h)

地上走行中でも30ノット(時速約50km)は出ている。

 〇標準的な3度の降下フライト・パスでスムースに着陸するには、滑走路からの距離(nm)x3の高度にすること。例えば空港の10nm(マイル)前ならば高度を3000フィートに下げておくこと。

〇2000フィートまでにアプローチスピード(Vref(着陸基準速度)150ノット)まで減速。

〇1000フィートでギヤ・ダウン。

〇滑走路上のAim point(白い大きな四角なので、あだ名はお餅)目指して降下し、タッチダウン・ポイントにメイン・ギアを接地させるつもりで。

〇よほどの悪条件以外は、パイロットの技量維持&突然の横風に備えて、400フィートぐらいからパイロットはマニュアルで操縦する。着陸直前に、コクピットから「プルッ、プルッ、プルッ」という音が聞こえたら、パイロットがオートパイロットを切った時の警告音。パイロットは、サイドスティックの赤いボタンを押してオートパイロットを解除してマニュアルにする。

着陸直前になると人工音声で「リタード、リタード!(リタードは収納とか引き戻すという意味)」と言われる(=リタードと言われるまでは、エンジンは自動推力で操縦しているので、スラスト・レバーは触らない事。自動推力設定のままでは、コンピュータが設定された一定の速度を保とうとするので、スラストレバーを引き戻すことによって、自動推力設定が解除されたモードになる。)ので、操縦かんを軽く引いて機体を水平にしてスラスト・レバーをアイドルに戻して、確実に地上に接地した後に、スラスト・レバー前にある「ノッチ」を引っ張り上げて、逆推進(リバース)位置まで、スラスト・レバーを動かす。安全のために逆推進装置は、地上にいる時しか起動しない仕組みになっている。スラスト・レバーは、飛行中はクライム(CL)位置に固定しておくのが基本で、離陸時と着陸直前以外は触らないのが基本。マニュアルで動かしたい時には、スラスト・レバー横の赤いボタン(機能停止ボタン)を押しながら操作するが、通常の飛行では、まず触ることはない

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3.○A320のフライ・バイ・ワイヤ・システム(安全システム)


 A320は、1987年(34年前!)に初飛行し、A320ファミリーを累計すると、おそらく1万機は製造されている。この機体には、コンコルドで採用されたフライ・バイ・ワイヤ・システム(Fly by wire, 電気ケーブルによる飛行)が装備されており、パイロットが故意に危険操作をしても飛行機にプログラムされている運用限界(フライト・エンベロープ(=飛行包囲線、迎え角、速度、高度の飛行領域))以上の運動は「飛行機が無視して安全な範囲内にとどめる」設計になっている。

< ストール(失速)防止機能 >

 例えば、パイロットがサイド・スティックを思い切り機首下げ方向に押し込んでも、安全保護機能が動作して-15度以上にはならない&機体空中分解速度にならないようになっている。

 さらに、「アルファ・フロア(失速しそうな状況になると自動的にエンジン推力が増加して強力に上昇し、失速姿勢を防止する機能。アルファは迎え角という意味。)」と呼ぶ失速(ストール)防止システムがあって、失速を予防する保護プログラムが作動するようになっている。例えば、巡行時などフラップを収納した状態では迎え角が13度を超えた時、フラップを出している時は一定の迎え角を超えた時に、アルファ・フロアが作動し、ある一定以上の迎え角(最大の迎え角= アルファ・マックス)以上にならない(=アルファ・マックスの迎え角度(約+30度)を維持して飛行を続ける。)ようになっている。

< 過剰ロール防止機能 >

 オートパイロット飛行中は33度以上に横に傾くことはなく、パイロットが、サイド・スティックを横方向に思い切り押し込んでも、機体は最大で67度以上は傾かず、サイド・スティックを離すと、傾きは自動で33度に戻り、そのまま33度の傾きを維持してまっすぐ飛行を続ける設計になっている。急旋回などで必用に応じて33度以上を保持するには、こまめにサイド・スティックを操作する必要がある。例えば飛行中にパイロットが5度の傾きを支持すると、ずっと5度の傾きを維持しながら、飛行プラン通りに飛行し、途中、突風で傾きが5度から外れたら、とっさに自動で5度に戻すようになっている。

< 重力加速度1G 維持機能 >

 重力加速度が常に1Gになるように飛行する(最大で+2.5G、-1Gを超えることは飛行機が許さない設計)のも特徴で、これは上下方向にほとんど揺れないという状態を作り出して乗り心地の良さに貢献している。実際には高度5000~1万フィートあたりの雲発生領域では、少し横揺れはあるが、不快原因である縦揺れはほとんど感じない。

1Gというのは、通常の自分の体重の感覚(=縦方向に揺れを感じない状態。体重が軽く感じるのはマイナスGがかかった時、体重が重くなったらプラスGがかかった状態)、0Gというのは無重力(正確には重力はどこにもかかっているので無重量状態)で、水中で浮遊している状態と同じ。月面では0.3Gで、風呂に入っている状態が0.3G。風呂の中で浮いていれば0G。エレベーターでは、上下方向に最大で+0.2Gと-0.2Gの加速度を感じるといわれており、それは、体重が100㎏の人が、体重を120㎏に感じたり、80㎏に感じるのと同じくらいの値。つまり、2.5Gは、体重の2.5倍に感じ、「-1G」は、通常の1G-1G=0Gで無重力状態になるということで、「-1G」を超えないということは、”ふわっ”とした感覚にならないということ。


< サイド・スティック >

 パイロットは離陸・着陸時以外で用事が無い時は、オートパイロットにすると、サイド・スティックは固まった状態になる。オートパイロットを切りたい時は、サイド・スティックの赤いボタンを押す。急な場合には、強い力(3-5kgの負荷)で動かすととガチャンという音とともに自動的にオートパイロットが切れて(「プルッ、プルッ、プルッ」という警告音がなる)、サイド・スティックが柔らかく動くようになる。飛行中はフライト・コントロール・ユニット(FCU)上のつまみを回して飛行条件(スピード、方向、高度)を変えたり、つまみを引っ張ったり(状況に応じてパイロットが設定した条件での自動飛行、画面表示は「数字」)、押し込む(フライトプランで最初に設定済の条件での自動飛行で画面表示は「---」)操作ぐらいの操作をしながら、基本はオートパイロット機能で事前の飛行プラン通りに飛行している。

 エアバス機のサイド・スティックは、オートパイロット中は操作しないのが基本で、ハンドマイク機能も兼ねているので、管制との通信時にサイドスティックのトリガーボタンを押して通信する。マニュアル操縦時には柔らかくて操作が可能であり手を離すとスティックは中立位置に戻るが、機体の傾きなどの飛行姿勢はそのまま保持される。つまり、目的のバンク角、迎え角になるまでスティックを操作する(実際には、パソコン・キーボードのカーソル・ボタン(←、→、↑、↓)と同じような操作をサイド・スティックで行っている。)と、その角度で機体の姿勢がずっと保持されるようになっている。これは、飛行途中で突風などでロール方向やピッチ方向が傾いても自動的に突風前の状態に戻すメカニズム。

一方、オートパイロット設定時には、サイド・スティックは固まって容易に動かなくなる。しかし、非常時にパイロットが力ずく(3-5kgの負荷)で動かそうとすると「ガチャン」という音がして、柔らかい感じが戻り、オートパイロットが外れた事をパイロットが明らかに認識できるようになっている。しかしながら、オートパイロットが外れても、アルファ・マックスやアルファ・フロアといった安全保護機能が解除されるわけではなく、失速を防止して機体を危険な状態にさせないようになっている。ただし、近年のエアバス機は、最悪時には一定の操作(飛行制御プログラムをノーマルから、オルタネートやダイレクトモードに切り替える)をすると一部の保護機能が外れる仕様になっている。

 サイド・スティックは、機長と副操縦士で別々に動かすことが可能で、両方の操作量の合成情報が機体にインプットされるので、通常は、片方の人間がコントロールするようにしていて、パイロットの目の前にある「サイド・スティック優先」ボタンで、優先性を取得可能。例えば、副操縦士が、機長の意に反して別方向に動かす場合はサイド・スティック上の赤いボタンを押しながら(これによって片方の入力信号を遮断する)操作すると、機長の操作が優先される。

 よって、パイロットがコクピットに2人いるならば「意図的に墜落させることが出来ない」ぐらいの設計になっている。しかしながら、過去に実際にA320を故意に墜落させたパイロット(ジャーマン・ウイングス9525便事件)が存在するのも事実であり、これは意図的に機長をコクピットから閉め出して一人状態を作り出し、計画的に墜落に至る状況を作り出した。そういう意味では、現代はパイロットの精神状態の管理が重要な時代ともいえる。

 フライ・バイ・ワイヤのプログラムは、同時に故障しない&不具合が起きないように、2つの独立したグループが設計したシステム(それぞれ独立で設計された3系統と2系統の合計5系統で同じプログラムのバグが出ないように独立した5つの会社でプログラムを作成している)を飛行中に挙動をクロスチェックしながら動いている。パイロットの操作信号は2種類のコンピュータを経由したあとに、舵面のアクチュエータに送られる。

 フラップやレバーは、飛行中の誤動作を防ぐために、機械的ノッチやつまみを同時に動かさないと動かないようになっており、さらに作動に際しては、速度などの観点でコンピュータが安全保護機能で見張っている。また、安全第一の旅客機においては、コクピットは二人体制が基本で、機長の指示(例えば、フラップ・アップ!)に従って副操縦士が指示を復唱(フラップ・アップ!)してから、フラップなどを操作するようになっている。

 エアバス社はフランスの本社に、世界からパイロットを受け入れてエアバス機操縦の訓練を行う、フライトシミュレータ・センターがあり、A320以降のエアバス機については、「飛行機が失速状態になりえない」プロテクション機能が標準なので、フライトシミュレータによる訓練でも、「失速はありえないので失速状態の手前までの操作しか体験させる必要がない」という状態になっている。また、実際の飛行機では行わないが、訓練に来たパイロットに最初にシミュレータ上で前述のような乱暴な操作をさせて、飛行機の強力な安全保護機能を体験させる。

 ちなみに、サイド・スティックは、コンコルドの実験機で使用していた時代からの流れであり、コンコルドの実験機では右側サイド(副操縦士側)にサイド・スティックを設置して実験していた。サイド・スティックの飛行機としてはF-16が有名だが、F-16は空中機動性を最優先させた戦闘機なので、何もしなければ不安定(=機動性抜群)で、まともに飛ぶことは出来ず、フライ・バイ・ワイヤでコンピュータ制御することによって、安定して飛行するようになっている。

 エアバス社のフライ・バイ・ワイヤの仕組みは、講談社「エアバスの真実」、イカロス出版「インテリジェント・ジェット エアバスA320」に詳しい。また、「alpha protection airbus」で動画検索すると動作状況を見ることが可能であり、パソコン上でリアルに体験したい人には、「マイクロソフト フライトシミュレータ2020」で、エアバス社公認ソフト「FenixSim A320」をインストールすると楽しめるが、本物と同じ操作をしないと、まともに飛ばす事も出来ないので、エアバス機の操作に慣れた人から教えてもらう必要がある。ちなみに、「マイクロソフト・フライトシミュレータ2020」には標準でエアバスA320NEOで入っているが、これは簡素化されたフライ・バイ・ワイヤとなっており、本物のエアバスの操作マニュアルとは全然、異なる。本物を飛ばした経験はないが、エアバス社公認ソフトで遊んでいる感じとしては、A320以降のエアバス機は、旅客機というよりも「飛行機型ロボットにフライトプランを入力し、随時、パイロットが管制官と相談しながら、飛行機に行き先を指示しながら飛ばしているという感覚」で、パイロットは、安全運航しているか監視しているという感じ。A320の開発時のコンセプトとしては、A320は駅馬車であり、馬は自分で危険を判断するので、騎手は手綱で右に行けとか左に行けと支持を出すような感じを想定していた。また、操縦系統については、巨大な実物大ラジコンの中で、人間がラジコン操作するイメージだった。

 フライ・バイ・ワイヤはソフトウェア技術なので、機体の大きさがまったく異なるA380でもA320と同じような操縦方法、飛行特性を再現することが可能であり、A320の操縦が可能なパイロットはスムースにA350、 A380などに移行出来るようになっており、航空会社としては機種移行訓練費用の節約につながるという利点がある。

< 飛行機の縄張り機能、衝突回避機能 TCAS >

A320のマニュアルでは、機体周囲100マイル、下方向約1万フィート、上方向約1万フィートの空間に、トランスポンダ搭載の航空機が侵入した場合、パイロットに「連絡、警告、回避」が出るようになっている。


< 地上物接近警告機能 GPWS >

 速度と高度の関係から、このままでは地上、山に接触する可能性がある時や、フラップや車輪の出し忘れ状態を判断して警告する機能。


< テイル・ストライク防止機能 >

< エンジン・リバース機能 >

 大型ジェット旅客機は、着陸直後に、推進力方向を変化(リバース。昔は逆噴射と一般人は呼んでいた)させて、車輪ブレーキによる滑走路の停止距離を短くしているが、現代の旅客機は、安全のため確実に車輪が接地しないと作動しない。昔の旅客機であるDC-8は飛行中もリバース作動可能であったが、羽田沖で機長が故意にリバース作動させて墜落させた事件以降、「確実に着陸した状態」でのみ作動するようになった。B747は、4つのエンジンでリバース作動するが、A380は、着陸時のリバース不作動による滑走路からのはみ出し防止のため、内側2つのエンジンしかリバースは作動しない。


図> 積雪滑走路で着陸時にリバースするB747。噴射気流によってエンジン手前の雪が舞い上がっているのが見える。

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以下はSKYbraryからの転載>

 現代の大型商用輸送機の設計は、飛行中の航空機の支援と保護のために高度な飛行コンピュータに依存しています。これらは、飛行中に飛行制御モードを割り当てる計算法則によって制御されています。
 フライバイワイヤ飛行制御を備えた航空機には、航空機の運用モードを決定できるコンピュータ制御の飛行制御モードが必要です。電子飛行制御の低下は、飛行制御コンピュータなどの計算デバイスの故障、航空データ慣性基準装置 (ADIRU) などの情報提供デバイスの故障、または複数のシステムの故障 (二重油圧故障、二重エンジン故障など) によって引き起こされる可能性があります。電子飛行制御システム (EFCS) は、乱気流を認識して修正し、ヨーダンピングを提供することで、航空機の過度のストレスからの保護を強化したり、乗客に快適な飛行を提供したりなど、通常の飛行を増強します。
 2つの航空機メーカーが、さまざまな飛行制御モード (またはルール) で動作できるプライマリ・フライト コンピュータを搭載した商用旅客機を製造しています。最もよく知られているのは、エアバス A320 ~A380 の通常ルール、代替ルール、直接ルール、および機械バックアップです。 ボーイングのフライバイワイヤ・システムは、ボーイング 777で使用されています。ボーイングには、フライバイワイヤ制御を使用する787と747-8という最近就航した商用航空機もあります。これらの新しい世代の航空機では、軽量の電子システムを使用して、航空機の重量を軽減しながら安全性と性能を向上させています。これらのシステムは航空機を過度のストレス状況から保護することもできるため、設計者はさまざまなコンポーネントの「過剰設計」を減らして重量をさらに軽減できます。

デザイン哲学> 古い航空機では、操縦桿、ラダーペダル、トリムホイール、スロットルなどによってケーブル、プーリー、油圧サーボバルブが機械的に動かされ、それによって操縦翼面が動かされたり、エンジン設定が変更されたりしていました。多くの新型航空機では、こうした機械式制御装置がフライバイワイヤ・システムに置き換えられています。こうした航空機には飛行制御コンピュータが搭載されており、電子信号を送信して操縦翼面やエンジン制御装置を操作し、パイロットに通知したり、性能情報を提供したりします。古い航空機では、パイロットの機械式制御装置は操縦翼面に作用する力によって抵抗を受けますが、航空機が失速したり、速度超過になったり、高速で過度のバンク角になったりすることを防ぐことはできません。フライバイワイヤ・システムは、航空機の制限を超えないよう操縦翼面の動きを制限します。
 航空機の設計者は、システム障害に対する安全策として、冗長電子機器を含む一連の飛行制御モードを作成しました。障害は単独で発生する場合もあれば、複合的に発生する場合もあります。これにより、システムが動作不能になります。パイロットは、フライバイワイヤ保護および制御強化の一部またはすべてが機能していない状態でも、航空機を制御できる必要があります。エアバスの制御ルール・ロジックでは、自動保護が徐々に低下し、複数の障害が発生すると保護されていない直接操作モードになります。また、すべての飛行制御コンピュータが一時的に失われた後のリセット・プロセス中に航空機の制御を継続できるように、限定された機械制御モードも用意されています。ボーイングの直接モードでは、計算上の「制限」の多くが取り除かれます。
 飛行制御ルールのもう 1 つの機能は、飛行制御コンピュータが部分的または完全に故障した場合の離陸、着陸、または通常の巡航など、さまざまな状況での航空機のパフォーマンスを評価することです。設計者は、コンピュータをバイパスする機能や、スタンバイ ・システムをコンピュータなしで動作させる機能を組み込みます。

エアバス飛行制御システム> A300/A310 以降のエアバス機の設計は、ほぼすべて フライバイ・ワイヤ装置によって制御されています。AIRBUS  A320、A330ファミリー、A340ファミリー、A350、A380-800などのこれらの新しい航空機は、エアバスの飛行制御ルールに従って動作します。機種間で、電気アーキテクチャ、飛行制御コンピュータの数と命名に若干の違いがあります。たとえば、A320には合計 7 台の飛行制御コンピュータ (2 台の ELAC ​​(エレベーター エルロン コンピュータ)、3 台の SEC (スポイラー エレベーター コンピュータ)、2 台の FAC (飛行増強コンピュータ)) があり、A330 には合計 5 台のコンピュータ (3 台の PRIM (飛行制御プライマリ コンピュータ)、2 台の SEC (飛行制御セカンダリ コンピュータ)) があります。どちらの航空機でも、1 台の飛行制御コンピュータで、最も基本的なエアバスの制御ルールである直接ルール(=ダイレクト・ロー)に基づいて完全な航空機制御を行うことができます。機械的なバックアップがシステム設計に組み込まれており、一時的な完全な電気障害から回復する間、航空機の限定的な制御が可能になります。
 エアバスのフライバイワイヤ航空機の飛行制御はすべて電子制御で、油圧で作動します。方向舵や水平安定板などの一部の表面も機械的に制御できます。通常の飛行中、コンピュータはピッチ軸とロール軸に過度の力がかからないように動作します。以下の説明は A330に基づいていますが、情報の多くは他のエアバス機種にも当てはまります。
 パイロットのサイドスティックとラダーペダル、航空データ慣性基準装置 (ADIRU)、着陸装置制御インターフェースユニット (LGCIU)、スラットフラップ制御コンピュータ (SFCC)、飛行管理誘導コンピュータ (FMGC)、加速度計など、多数の情報源からの情報が5台の飛行制御コンピュータに送信されます。そこで、アクティブ制御ルール、航空機の速度、高度、構成、姿勢、飛行段階、その他多数のパラメータに応じて、サイドスティックとラダーペダルまたは自動操縦コマンドが解釈され、適切な制御偏向信号が制御アクチュエータに送信されます。2 台の飛行制御データ・コンセントレータ (FCDC) も、プライマリおよびセカンダリ飛行制御コンピュータからデータを取得し、それを電子計器システム (EIS) に送信してパイロットのディスプレイに表示し、中央保守コンピュータ (CMC) に送信します。
 飛行制御法ルールには、通常ルール(=ノーマル・ロー)、代替ルール(=オルタナティブ・ロー)、直接ルール(=ダイレクト・ロー)の 3 つがあります。代替ルールはさらに、代替ルール 1 と代替ルール 2 に細分化されます。代替ルールのいずれかのオプションへの低下は、障害の種類によって異なります。3 つのルールにはそれぞれ、地上モード、飛行モード、フレアモードなどのサブモ​​ードがあります。機械式バックアップは、完全な電源遮断後に飛行制御コンピュータを復元しながら、パイロットが航空機の制御を維持できるように設計されています。

通常ルール(Normal Law、ノーマル・ロー)> 飛行制御(Normal Law) は、3 軸制御、飛行エンベロープ保護、および操縦負荷軽減を提供します。Normal Law は、飛行の段階に応じて異なるモードで動作します。これらのモードには次のものが含まれます。

地上モード
機内モード
フレアモード

地上モード> 地上モードは、航空機が地上にある間アクティブです。自動トリム機能はオフになっており、サイドスティックの偏向とエレベーターの応答には直接的な関係があります。水平安定板は自動的に 4° 上に設定されますが、手動設定 (重心など) はこの設定を上書きします。車輪が地面を離れた直後、飛行モードが徐々に地上モードから切り替わります。着陸フェーズ中のタッチダウン後、逆のことが起こります。

機内モード> Normal Lawの飛行モードでは、ピッチ姿勢、荷重係数制限、高速、高AOA、バンク角の5種類の保護が提供されます。さらに、低速保護は飛行の特定の段階で利用できます。Normal Law飛行モードは離陸時から動作し、着陸段階で地上100フィートまでアクティブのままです。特定のシステムに障害が発生したり、複数の障害が発生すると、Normal LawがAlternate Law (ALT 1 または ALT2) に低下します。
 従来のコントロールとは異なり、ノーマルロー・フライトモードでは、サイドスティックは、機体の速度とは無関係に、スティックの偏向に比例した荷重係数を提供します。手動飛行でサイドスティックがニュートラルの場合、システムは1gの荷重係数を維持し、速度や構成の変更中でもパイロットがエレベータートリムを変更することなく、機体は水平飛行を維持します。33° バンクまでの手動旋回では、システムが自動的に機体をトリムして水平飛行を維持するため、サイドスティックのバック・プレッシャーは必要ありません。迎え角が過剰になった場合、荷重係数が 1.3g を超えた場合、またはバンク角が 33° を超えた場合、システムは自動トリムをフリーズします。意図的な操縦の結果としてこれらの状況が発生した場合、パイロットはサイドスティックにバック・プレッシャーをかけて選択した姿勢を維持する必要があります。いずれの場合も、 荷重係数保護によって、機体がAOM "g" 制限 内にとどまるように制御入力が自動的に制限され、ピッチ姿勢保護によって、機体の姿勢が最大 30° 機首上げまたは 15° 機首下げに制限されます。
 高迎え角保護は失速や風切の影響から機体を保護するもので、他のすべての保護機能よりも優先されます。保護は迎え角が α-Prot とα-Maxの間にある時に作動し、サイドスティックを完全に操作した場合でも、パイロットのサイドスティックで指示された迎え角をα-Maxに制限します。オートパイロットが作動している場合は、高迎え角保護が作動すると自動的に解除されます。作動パラメータが満たされると、オートスラスト・システムによって α-Floor (TOGA推力の自動適用) が作動する場合があります。
 高速保護が作動し、高速での不調から自動的に回復します。高高度航空機には、VMO(最大速度運用)とMMO(最大マッハ数運用) の2つの速度制限があります。約31,000 フィートでは2つの速度は同じで、それ以下ではVMOによって速度超過が判断され、31,000 フィート以上ではMMOによって判断されます。高速保護が作動すると、航空機の正のスパイラル静的安定性が通常の33°から0°に低下します。つまり、パイロットがサイドスティックを放すと、航空機は翼水平姿勢までロールします。また、サイドスティックの機首下げ権限が低下し、速度を下げて通常飛行に回復できるように、永続的な機首上げ命令が適用されます。高速保護が作動すると、自動操縦が自動的に解除されます。速度がVMO/MMO未満に低下すると、通常法則が復元され、自動操縦を再度作動させることができます。

バンク角保護は、航空機の最大バンク角を制限します。通常の飛行範囲内で、バンク角が33°を超えるときにサイドスティックを放すと、バンク角は自動的に33°に減少します。サイドスティックを完全に振った場合、達成可能な最大バンク角は67°です。アタック角または高速保護のいずれかがアクティブな場合、サイドスティックを完全に振ると、最大バンク角は45°になります。高速保護がアクティブな場合、サイドスティックを放すと、航空機は翼が水平 (バンク角 0°) の姿勢に戻ります。

低エネルギー保護は、フラップが構成2以上に設定されている状態で航空機が100フィートから2000 フィートの間にある場合、通常法則でも利用できます。低エネルギー警告は、構成、対気速度の減速率、および飛行経路角度のパラメータを使用してPRIMによって計算されます。音声警告「速度、速度、速度」は、航空機のエネルギーが低くなりすぎたため、正の飛行経路角度を回復するためにパワーを追加する必要があることをパイロットに示します。αフロア保護は利用可能であり、パイロットのアクションが不適切または不十分な場合に作動します。

フレアモード> このモードは、レーダー高度計が地上100フィートを示すと自動的に作動し、サイドスティックとエレベーターの直接的な関係を提供します。50フィートで、航空機は機首をわずかに下げ、パイロットは着陸のための従来の制御入力を模倣して、サイドスティックを徐々に後方に動かす必要があります。

代替ルール(オルタナティブ・ロー)> エアバスのフライバイワイヤ航空機には、代替ルール、直接ルール、機械バックアップの 3 つの基本的な再構成モードがあります。代替ルールは、特定の障害に応じて、多少異なる 2 つの構成に細分化されます。代替ルールの地上モードとフレア・モードは、通常法のモードと同じです。

代替ルール 1 (ALT1) は、通常ルールの横方向モードと代替ルールのピッチ・モードを組み合わせたものです。低エネルギー保護は低速安定性に置き換えられ、航空機の自動失速保護がなくなります。低速では、IAS (AOAではなく) に基づいて機首下げ要求が導入され、代替ルールが直接ルールに変わります。さらに、音声による「失速」警告が導入されます。αフロア保護は利用できないため、従来のパイロットによる失速回復アクションが必要です。

荷重係数とバンク角保護は保持されます。高速および高迎え角保護は代替ルールモードになります。ピッチ姿勢保護は失われます。

ALT1 制御ルールの劣化は、水平安定装置の故障、単一の昇降舵故障、ヨーダンパーアクチュエータの損失、スラットまたはフラップ位置センサーの損失、または単一の空気データ参照故障によって発生します。故障によっては、自動操縦が利用できない場合があります。

代替ルール 2 (ALT2)では 、通常ルールの横方向モードが失われ、ロール直接ルールとヨー代替ルールに置き換えられます。ピッチ モードは代替ルールです。荷重係数保護は保持されます。ALT1 で失われた保護 (ピッチ姿勢および低エネルギー保護) に加えて、バンク角保護も失われます。一部の障害ケースでは、高迎え角保護および高速保護も失われます。

ALT1 の場合と同様に、ALT2 につながるいくつかの障害ケースでも、自動操縦装置が切断されます。両方のエンジンが停止した場合、2つの慣性ユニットまたは2つのエア データ参照ユニットに障害がある場合、すべてのスポイラーに障害がある場合、特定のエルロンに障害がある場合、またはペダル・トランスデューサーに障害がある場合、ALT2になります。

直接ルール(ダイレクト・ロー)> ダイレクト・ロー (DIR) では、横方向モードは ALT2 と同じです。つまり、ロールはダイレクト・ロー、ヨーはオルタナティブ・ローです。ピッチ制御はダイレクト・ローに低下し、自動トリムは動作しないため、パイロットがスタビライザー・トリムを手動で調整する必要があります。操縦面の動きは、サイドスティックの動きと直接関連しています。すべての保護機能が失われます。

Direct Lawでは、自動操縦機能は常に失われます。3 つの慣性基準装置すべてまたは 3 つの主要な飛行コンピュータすべてに障害が発生した場合、両方のエレベータに障害が発生した場合、または PRIM1の喪失と同時に両方のエンジンから炎が発生した場合は、DIRに入ります。

機械的バックアップ> メカニカルバックアップ・モードでは、ピッチは機械式水平安定トリム・システムによって制御され、横方向はラダーを機械的に操作するラダーペダルによって制御されます。このモードは、一時的に全電力が失われた後、パイロットが飛行制御コンピュータをリセットしながら水平飛行を維持できるようにするためのものです。

ボーイング・フライトコントロール・システム> ボーイングのフライバイワイヤ電子飛行制御システムへのアプローチの原則は、ボーイング 777 で確立されました。採用された設計原則は、機械的に制御される飛行制御システムと同様に応答するシステムを提供することです。B777 システムは電子的に制御されるため、飛行エンベロープ保護も提供できます。電子システムは 2 つのレベルで動作します。4つのアクチュエータ制御エレクトロニクス (ACE) ユニットと3つのプライマリ・フライト コンピューター (PFC) があります。ACE はアクチュエータ (パイロット コントロールから操縦面コントロール、PFC まで) を制御し、PFC は適用可能な制御法則を決定し、フィードバック力、パイロット情報、警告を提供します。

標準保護と強化> 777 の飛行制御システムは、希望する制限に達するとバックプレッシャーを増大させることにより、特定の範囲を超える制御権限を制限するように設計されています。これは、電子制御バックドライブ・アクチュエータ (ACE によって制御) によって行われます。保護と増強は、バンク角保護、旋回補正、失速保護、過速度保護、ピッチ制御、安定性増強、および推力非対称補正です。設計理念は、「与えられたコマンドによって航空機が通常の動作範囲外になるが、そうする能力が排除されないことをパイロットに通知する」ことです。言い換えると、飛行範囲保護システムは、触覚、視覚、および聴覚による合図と警告によって、乗務員に範囲の余裕と制限を認識させます。ただし、システムの保護機能によってパイロットの制御権限が削減または制限されることはありません。

通常モード> 通常モードでは、手動飛行中に、ACEはパイロットの制御入力を受信し、これらの信号を3つのPFCに送信します。PFC はこれらの信号を確認し、他の航空機システムからの情報を活用して制御面コマンドを計算します。これらのコマンドはACEに送り返され、ACEは強化された信号を飛行制御面アクチュエータに送信し、アクチュエータはそれをアナログ・サーボコマンドに変換します。強化されたパフォーマンス、エンベロープ保護、乗り心地機能など、完全な機能が提供されます。

オーロパイロットが作動すると、オートパイロット・システムはPFCにコマンドを送信します。PFCは操縦面コマンドを生成し、パイロットの操縦入力と同じ方法でACEに送信されます。オートパイロット・コマンドはフライトデッキのコントロールを動かし、パイロットにオートパイロットのフィードバックを提供します。パイロットが操縦入力でオートパイロットをオーバーライドすると、PFC はオートパイロットを解除し、パイロットの操縦入力を使用します。セカンダリ・モードまたはダイレクト・モードに戻った場合は、オートパイロットは使用できないことに注意してください。

セカンダリ・モード> ボーイングのセカンダリ・モードは、エアバスの代替ルールに多少似ています。PFC が内部障害または他の航空機システムからの情報の損失により通常モード操作をサポートできない場合、自動的にセカンダリ・モードに戻ります。セカンダリ・モードに戻ると、自動操縦が失われ、パイロットは航空機を手動で制御する必要があります。ACE は引き続きパイロットの制御入力を受け取り、適切な信号をPFCに送信します。ただし、動作モードが劣化しているため、PFCは「簡略化された」計算を使用して飛行制御面コマンドを生成します。これらのコマンドはACEに送り返され、そこから通常モード操作中と同じ方法で飛行制御面に送信されます。

航空機の操縦性は、セカンダリ・モードで利用される簡略化された計算またはPFC制御法則の影響を受けます。すべての飛行制御面は引き続き動作しますが、エレベータとラダーは、一部の対気速度でより敏感になります。セカンダリ・モードの動作中は、次の機能は動作しないか、または低下します。

自動操縦
自動スピードブレーキ
封筒保護
突風抑制
テール・ストライク保護
推力非対称補正
ヨーダンピング

ダイレクト・モード > ACEは、3つのPFCすべてに障害が発生したことを検出するか、PFC と通信できない場合、自動的にダイレクト・モードに戻ります。プライマリ・フライトコンピュータ切断スイッチの DISC位置を選択して、ダイレクト・モードを手動で選択することもできます。ダイレクト・モードでは、PFCは操縦面コマンドを生成しなくなります。パイロットの入力はACEによって受信され、操縦面アクチュエータに直接送信されます。

ダイレクト・モードでは、飛行中および着陸フェーズ中に航空機を完全に制御できます。航空機の操縦特性は、セカンダリ・モードの場合と非常に似ています。セカンダリ・モード操作中に失われる機能 (前述のとおり) に加えて、手動ラダートリム・キャンセル・スイッチは動作しません。

機械的バックアップ>  電気システムが完全に停止した場合でも、フライトデッキのコントロールからスタビライザーおよび選択されたロール・スポイラーまでのケーブルにより、パイロットは電気システムが復旧するまで直線飛行と水平飛行を維持できます。